「1強」としてばんえい界をリードするメムロボブサップが、年間を通じて最も優秀なパフォーマンスを発揮した馬に贈られるベストホース「V4」に輝いた。2024年度は、開催初日の「楽天競馬賞スプリングカップ」から始動し、シーズン最終戦の「ばんえい記念」まで11戦し10勝。2度目のばんえい記念制覇、4連覇の「ばんえいグランプリ」など、重賞7勝を挙げた。ファン投票では投票総数の57.20%に上る2024票を集め2位サクラヒメ以下に大差をつけた。部門別表彰の最優秀5歳以上馬とともに、選定委員会では満場一致での選出となった。
記録も、記憶にも残るシーズンだった。単一シーズンでの重賞7勝、収得賞金とも自己最多記録。ばんえい記念(1着賞金1000万円)優勝で、08年に引退したスーパーペガサス以来、史上8頭目の通算収得賞金1億円超えも達成した。その大一番では、主戦の阿部騎手がレース前日の調教で怪我を負い急きょ渡来騎手が代打騎乗。5年ぶり2度目の騎乗が重量1トンで戦う最高峰レースというプレッシャーの中、馬が「俺に任せておけ」と言わんばかりに、焦ることなく第2障害を4番手で下り最後の直線を力強い足取りで抜け出した。レース後のインタビューで坂本調教師が感涙し言葉に詰まるほど、周囲の期待を超える強さを見せつけた。自身が持つ現役最多通算重賞勝利を23勝まで伸ばし、25年度はいよいよ、オレノココロが持つ歴代最多25勝の更新もかけたシーズンになる。
父 | (半血)ナリタボブサップ | 父父 | (半血)華 旭 |
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父母 | (半血)龍 姫 | ||
母 | (日輓)ピュアレディ | 母父 | (半血)アキバオーショウ |
母母 | (半血)竹四顕姫 |
2024年度デビューの2歳馬の戦いは、世代最初の重賞「ナナカマド賞」と、唯一のBG1「イレネー記念」の2つのタイトルを獲得したキョウエイエースが、選定委員会でも満場一致で選ばれた。
5月のデビューから3戦目で初勝利を挙げ、8月から3連勝でナナカマド賞を制覇。シーズン9勝を挙げ、収得賞金も最多の9,812,000円を獲得した。半兄キョウエイリュウは19年に「ナナカマド賞」と「ヤングチャンピオンシップ」を勝っており、兄弟でのばんえいアワード最優秀2歳馬受賞となった。
父 | (日輓)キタノリュウキ | 父父 | (日輓)カネサテンリュウ |
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父母 | (日輓)ヨシノサクラ | ||
母 | (日輓)風 蓮 | 母父 | (日輓)グレイトアマゾン |
母母 | (日輓)北 信 |
牝馬ながら、3歳三冠レース全戦に挑み、紅一点の参戦だった「ばんえい菊花賞」を制覇した。その1カ月後には「ばんえいオークス」を1番人気で勝ち、牡牝合わせ同世代では唯一重賞2勝を挙げた。シーズン3勝、獲得賞金はミチシオに次ぐ2位だった。
選定では、「ばんえい菊花賞」では重量が10kg軽いアドバンテージがあったとはいえ牡馬を相手にしての重賞勝ちは高く評価された。ダービーを勝ったライジンサンの名前も挙がったが、スマイルカナを推す声が多数を占めた。
父 | (日輓)インフィニティー | 父父 | (半血)フジエーカン |
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父母 | (半血)クインフェアー | ||
母 | (日輓)スマイルセンショー | 母父 | (半血)スミヨシセンショー |
母母 | (半血)スマイルカラー |
2歳時に「ナナカマド賞」、3歳時に「ばんえいダービー」を制し、もともと高い実績を有していたタカラキングダムだが、持ち味の末脚にますます磨きがかかり、史上6頭目の4歳路線三冠レース制覇を果たした。「はまなす賞」(3・4歳)を合わせた4つの重賞勝ちは、2着馬との差がいずれも3秒差以内。直線で計ったように差し切るレースぶりは、強さを際立たせた。
収得賞金も次位ジェイホースの2倍超の秀でた数字を残し、選定でも満場一致での受賞となった。
父 | (日輓)キタノオーロラ | 父父 | (半血)カツテンオウ |
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父母 | (半血)ユキナミトップ | ||
母 | (日輓)フジ姫 | 母父 | (ペル)ランタロー |
母母 | (半血)ホマレ姫 |
牝馬重賞2勝を含むシーズン7勝を挙げたサクラヒメが、3年連続の最優秀牝馬に輝いた。牝馬BG1のヒロインズカップでは3度目の出走で初制覇を果たした。選定では、牡馬相手のばんえいグランプリ(5着)、ドリームエイジカップ(4着)での好戦も高く評価され、満場一致での受賞となった。
可憐な名前とは対照的に、秀でたスピードとパワーを兼ね備え、ここまで通算34勝を挙げ、勝率47.9%、連対率64.8%の優秀な成績を残している。25年度シーズンも女王のレースを見せてくれそうだ。
父 | (半血)キタノイチオク | 父父 | (半血)ダイヤテンリユウ |
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父母 | (半血)松 姫 | ||
母 | (日輓)桜 子 | 母父 | (半血)ヤエノテンリュウ |
母母 | (半血)桜 栄 |
シーズン159勝を挙げ3年連続15回目のリーディング1位を獲得し、ファン投票でも2位今井千尋騎手、3位阿部武臣騎手を抑えトップの支持を集めた。勝率15.0%は1位、連対率も騎乗数300回以上の騎手では最高の30.1%と抜群の信頼度を誇る。
ライジンサンとのコンビで臨んだ「ばんえいダービー」では積極的なレース運びで第2障害を先頭でクリアし、ゴール前で脚色が鈍りながらも押し切って優勝。キングフェスタ以来2年ぶり、自身6度目の制覇を果たした。昨年7月28日には通算3500勝を達成。現役、歴代通じて、藤本匠騎手、藤野俊一騎手に次ぐ3人目の記録で、デビューから26年6カ月での達成は史上最短となった。
1着回数で争う2024年度リーディング騎手は、鈴木恵介騎手が3年連続通算15度目の1位となった。2位西将太騎手、3位島津新騎手も2年連続トップ3入りを果たした。
1位 鈴木 恵介騎手
2024年度成績/
1061戦159勝
2位 西 将太騎手
2024年度成績/
1127戦150勝
3位 島津 新騎手
2024年度成績/
1026戦134勝
4位 菊池 一樹騎手
2024年度成績/
1032戦130勝
5位 阿部 武臣騎手
2024年度成績/
1054戦126勝
生産馬の年間勝利数69勝、出走回数707回、収得賞金41,979,000円。いずれも第2位で、重賞では生産馬ホクセイハリアーが「ばんえい大賞典」を制した。ばんえい競走馬生産を始め10年ほど。ホクセイハリアーをはじめ、パワフルクィーンが「黒ユリ賞」で4着するなど成績を伸ばしている。
最優秀生産者部門は、年間出走回数、年間勝利数、重賞勝ちの有無や勝利数、勝率など、どの数字に焦点を置くかで対象は変わってくる。今回も選定委員会ではさまざまな意見が出て議論が交わされ、選定には2度の多数決を経た。
委員会では、競走馬を育ててくれる生産者への感謝や、多くの生産者が受賞し励みにしていただければという意見があった。
2023年度128勝を挙げ開業21年目で初のリーディングを獲得し、24年度は前年を上回る139勝を挙げ2年連続での受賞となった。出走回数970回、勝率14.3%、連対率29.3%は、いずれも全厩舎のなかでトップ。勝利数では2位坂本東一厩舎に35勝差をつけた。
長く厩舎の看板馬として活躍してきたアオノブラックが24年度シーズン限りで引退。ポプラ賞を勝ったマルホンリョウユウをはじめ、次世代の活躍馬を育てていく。
選定委員会で、PR馬とともにばんえい十勝PRに尽力する現役調教師2名の受賞が決定。コロナ禍を経て、年間通しての活動は2024年度が本格的な再開となり、今回の特別賞対象とした。
服部義幸調教師
ふれあい動物園の園長を務めるなど長年の功績はもちろん、コロナ禍による自粛期間後再開した保育園・幼稚園訪問は、24年度には23園に出向き7件ものふれあい動物園での受入れを行うなど、地元に根付いたPR活動が受賞につながった。
鈴木邦哉調教師
服部調教師と同じく、長年のPR馬での活動はもちろん、コロナ禍明け23年秋に再開したPR馬の派遣イベントは、24年度は函館・笠松・金沢・川崎・佐賀・名古屋の競馬場や場外発売所の他、ボートレース住之江・福岡、小倉競輪など他公営競技場にもおよび、全国へばんえい競馬の魅力普及に尽力いただいたことが高く評価された。